会話ロボット

SCHMEA

SCHEMAこれはロボットに限った話ではありませんが,人の役に立つ機械であるためには人とコミュニケーションを取れなければいけません.コミュニケーションの形態には様々なものがあります.機械や情報処理端末とのコミュニケーションにはキーボードやマウス,タッチパネルなどがよく用いられています.近年,音声認識・音声合成を用いた会話機能を備えたデバイスも登場してきましたが,他のコミュニケーション手段に比べるとまだそれほど利用機会は多くないのが現状でしょう.

その原因は様々なものが考えられますが,一つには人が会話をするときに交換される音声以外の周辺情報がとても重要な役割を担っているということが考えられます.周辺情報には,例えば視線や頭部の動きや身振り手振りといったものが含まれます.こういったことから,ロボットに会話機能を実現しようとした場合,まずは会話に必要な動作を実現可能なハードウェアが好ましいと考えられます.そういった発想から生まれたのがSCHEMA(シェーマ)です.

コミュニケーション活性化

SCHEMA(活性化フィールド実験)SCHEMAは会話機能を研究するためのプラットフォームとして開発しましたが,会話ロボットそのものが活躍できる場があるのではないかと考えました.会話ロボットが他のシステムとくらべて優れている点の一つとして,人同士が会話している場に自ら進んで参加できるということです.そこで,もともと人同士が会話をしている場に参加して,その会話の盛り上げ役(ファシリテータ)として振る舞わせることを試みました.

具体的には,訪問型高齢者施設で行われている難読ゲーム(難しい漢字の読みを当てるゲーム)に回答者として参加して,盛り上げる機能を実現しました.ロボットは,同じく回答者である高齢者に回答を促したり,問題に関する小ネタを挟んだりすることによって場を盛り上げます.適切に場を盛り上げるためには,無秩序に面白おかしい行動を取ればよいわけではありません.ゲームの参加者,会話の参加者として適切な行動を取りつつ,盛り上げなければなりません.そのために,回答者の音声や顔画像,司会者が持っている情報端末の操作情報などから,時々刻々と変化する環境の理解を行っています.

関連する研究業績

  • Y. Matsuyama, I. Akiba, S. Fujie, and T. Kobayashi, “Four-participant group conversation: A facilitation robot controlling engagement density as the fourth participant,” Computer Speech & Language, vol. 33, no. 1, pp. 1-24, Sept. 2015.
  • 藤江真也,松山洋一,谷山 輝,小林哲則,”人同士のコミュニケーションに参加し活性化する会話ロボット,” 電子情報通信学会論文誌(A),vol.J95-A,no.1,pp.37-45,Jan. 2012.

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